約束を守ったらゴタゴタに巻き込まれた…

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「へへっ、どうぞ。」 そこで、キャンキャン男が道を譲るように一歩横に下がる。 はぁ…また、面倒臭い事に… 立つ。ただそれだけ、 歩く。ただそれだけ、 魔力を練る。ただそれだけ、 ただそれだけの動作一つ一つから滲み出るこの男、アニキと呼ばれる男の強さ。 一筋縄では行かないな… アニキがキャンキャン男の横に来た瞬間だった。 「っ!」 俺はアニキがその場から消えたような錯覚を覚えた… 「なっ!!!?」 「っ!!まお…アニキ!」 「……はぁ?」 アニキが消えた…否、その場に片膝を着きしゃがみ込んだのだ。 これには流石にキャンキャン男だけではなく右腕の男も狼狽える…まお?アニキの名前か? かく言う俺もアニキの奇行にはどう反応すべきか…って、 「あ、アニキ…何を!?」 「ひ、拾うんですか!?おい、お前も拾え!アニキはいいですから立って下さい!拾うんなら私達が拾いますから!」 えっ…何これ? 拾うのか? アニキはしゃがみ込んだと思ったら散らばった金板を一枚、また一枚と拾っていく。 そんなアニキの後ろから右腕の男が慌てて近づき、キャンキャン男に拾うよう指示すると自分もその隣にしゃがみ… 「お前達はせんでえぇ。男らしゅう立っときぃ。」 …込む前にアニキが止める。 「し、しかし、アニキが拾われているのに私達だけ…」 「えぇて、えぇて。男ならプライドがあるやろ?」 「しかし…くっ、わかりました。」 なんだこれ? まじで、どういう状況? あと、アニキの口調… 思考がまとまらない俺をよそにアニキは最後の一枚を拾うと、手に持っていた金板を一束ねにする。 「よいしょっと…やっぱ、この重さ…えぇなぁ。」 アニキは満足げな顔で立ち上がる。 これで解放されるのだろうか…
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