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ニーナはどんな些細なことも全力を出すタイプだ。
例え、アイスに気を取られていたとはいえ、その速度は並大抵ではない。
そうなると、同時、もしくは少し遅れて回避行動を行ったにも関わらずニーナの速さについていける…しかも、あの時、俺は魔力を感知していない。
やはりアニキの実力は普通ではないと。
尚且つ、あの警戒…
アニキも驚いただろうな。
見た目、普通の少女が魔力も纏わず自分のスピードについてくるなんて不思議で仕方なかったはず…
まぁ、アニキとはまた会うんだろうな…そんな気がする。
「ニーナ、お前が行きたがっていた所に行こうか?」
「『むふふ』か!?」
「あぁ。」
「行くぞ!!」
本当は間にもう2、3箇所挟むつもりだったんだがな
。
いい感じに日が傾いてきたし、疲れたし、なにより、これ以上ニーナに問題を起こされては俺の身が持たない。
と言うわけで、ニーナの手を取ると俺は転移した。
……side
「良かったのですか?」
肩まで伸びた白髪と整った顔の男は鼻歌を歌いながら前を歩く男の背中に言葉を投げた。
「なにがや?」
その男は歩きながら首だけひねり白髪の男に聞く。
「はぁ、あの二人組のことですよ。」
白髪の男はため息をつきながら答える。
「あぁ~、えぇよ別に。どうせいずれ会うことになるやろからな。」
男は左瞼を縦断する大きな傷跡をポリポリと掻きながら興味なさそうに答える。
「また会う?そん時は俺がぶっ殺していいっすか!アニキ?」
そこに、前歯が無い如何にも頭が悪そうな男が割って入る。
「えぇで~、好きにやりぃ。まぁ、お前さんがやったとこで瞬殺されんのは目に見えとるけどなぁ。」
「いよっしゃー!やりますぜ!俺、やりますぜアニキ!!」
適当に流されていることに気づかないこの男。
だが、2人もそれに気づいて何も言わないのは期待していないから…ではなく、心から興味がないから。
むしろ、なぜ今日はついてきたのだろうか?
と、2人は思っているほど。
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