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「そういや、この国には奴も居るんやろぉ?」
「そうですね。ですが今回はあの方とは会えませんよ?」
傷跡の男は思い出したように口を開いた。
それに対し、白髪の男は素っ気なく淡々と答える。
「わかっとるわい!ワイかて別に奴と会いたいわけとちゃうわ!」
「そうですか。でしたら急ぎましょう。だいぶ時間が押しています。あの方もですが今日会うあの方もまた気難しく面倒な方ですからね。」
「そやなぁ、今は人間の国のてっぺんやっとんのやろ?やから、なかなか時間が取れんてボヤきよったからな。まぁ、ワイにとっちゃどうでもえぇねんけどな~。」
やれやれとでも言うように話す白髪の男。
だが、傷跡の男は全く興味を示さない。
「あなたはそれでもいいでしょうが、お叱りを受けるのは私ですからね?だから、急ぎましょう…
…魔王様。」
「ワイはその呼び方、嫌いや。…あぁ、あと、アニキって呼び方も好まんな。」
冬弥side
「いらっしゃいませ~!」
「おぉ~!甘いぞ!空気が甘いぞトウヤ!」
「あぁ、そうだな。出来たら、もう少し声のトーンを落とそうか?」
奴らと別れてから俺達はスイーツの名店『むふふ』に来ている。
この店はケーキや、パフェだけで数百種類のメニューがあり、軽食も頼める。そして、味も良く、料金も安いとありかなりの人気店だ。
今日は平日のためか満席ではなく待ち時間無しで入ることが出来た。
俺自身、ここに来るのは初めてだがユウの話では一時間待ちなら空いている方だと…
「さぁ、ニーナ。好きな物を「これだ!」イチゴな。「あとこれ!」イチゴか。「それにこれも!」…イチゴだな。「あとは」ちょっと待て!」
「ん?」
ニーナは興奮気味にこちらを見る。
「時間はあるんだからゆっくり食べようか。あと、食べ終わってから次を頼む事。わかったか?」
イチゴだらけなのは気にしないが一気に頼むのはなんた嫌だ。
「ん、わかったぞ!ならまずはこれからにする!」
「…そうか。」
なぜか、一番手はブルーベリーだった。
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