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「むぐっ、あむっ!むふ~。」
ニーナが食べ始めてどのくらい経っただろうか?
窓から覗く空は茜色に染まり、机の上にある伝票置きには何枚もの伝票が…
書き足されていく内に入り切らなくなり増えていったのだが…
はぁ…
俺はテーブル席でニーナと向かい合って座っている。
空いた器はそのたびに運ばれていくためテーブルの上はさっぱりしているのだが…
「ほら、ニーナ。動くなよ?」
「んむ?むむっ~!」
食べ方が汚いと言うか何と言うか…
「ゆっくり食べろ。誰も取ったりしないから。」
俺はこれで何度目か、ニーナの顔に押し付けたおしぼりをぐりぐりと擦り付ける。
「んっ…ぷはぁ!わかった!次を頼むぞ!」
「へいへい。」
次は何だっけ…
ニーナに確認を取ろうと顔を上げたときだった。
「いらっしゃいませー!2名様ですね?お席は?」
「テーブル席で。」
「かしこまりました!では、こちらへどうぞ!」
奴らが来た…
「…今日は少ないね。」
「そうね、普段は平日でも多い日があるのに今日はついてるわ!」
ユウとエリアだ。
「トウヤ~、ちーずはまだか?」
「ん?あぁ、チーズケーキな。」
参ったな…絶対、また一悶着あるぞ…
ユウ達は店員に導かれ、あろう事か俺の真後ろのテーブルに着いた。
間違いない…
「トウヤ?」
「あぁ、悪い。…すいません。」
チーズケーキを注文し、俺は手元のコーヒーを一口啜る…帰りたい。
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