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「やめろ!」
「っ…」
強制転移を発動させようとした瞬間、誰かが声を上げた…またなんか出たのか…
「んだぁ、てめぇは?」
座る二人の男は動きを止め声のした方を睨み、立っていた男は振り返りながらガンくれる。
「彼女達は嫌がってるじゃないか!」
俺もそいつに目を向ける。
そこに居たのは、二人組の男。
年齢は俺と変わらないか、一つ下くらいか。
で、喋っているのは黒目、黒髪の整った顔立ちをしておりその表情は正義感に満ち溢れ、多少の怒りを含んでいる。
その後ろには黒目で金髪の男。
顔立ちは良い方だと思うがその表情は非常に面倒くさいとでも言いたそうな…って、目が合っちまった。
金髪は俺と目が合うと、驚いたように目を見開いた後、ニヤリと笑いながら小さく手を振ってきた。
…なるほどな。
「だから何だよ?てめぇに何の関係があるって言うんだ?」
「関係なんて関係無い!彼女達が迷惑そうだから僕は助けに来ただけだ!」
…これは間違い無い…あの黒髪…勇者だ。
「ちっ、こいつうぜーなぁ!!」
チャラ男の1人がそう言いながら勇者に拳を振るう。
「うわっ!暴力なんて最低だよっ!」
「がはっ!」
勇者はチャラ男の拳を大げさに避けると、その腕を掴み捻り上げながら床に叩きつけた…
勇者…いや、あれは勇者(笑)か…
俺は突如、頭痛に襲われこめかみを抑える。
「………」
ん…?ニーナの様子がおかしい。
「モッブ!てめぇ、よくもやりやがったな!ただじゃおかねぇ!!」
地面で伸びているモブを見て怒りをあらわに立ち上がる2匹のモブ。
「そんな!どうしたのさいきなり!?」
それを見て勇者(笑)は慌てふためくがモブ達には関係ない。
「死に晒せ!」
ユウに絡んでいたモブが勇者(笑)に殴りかかった…と思ったらその手にはケーキを切るためのナイフが握られていた。
「っ!」
勇者(笑)は余裕でそれを受け止めるが相手が刃物を持ち出したことを理解したとたん表情が変わる。
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