約束を守ったらゴタゴタに巻き込まれた…

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「…無闇に人を傷付ける行為は絶対に許されない。だから、まだやるって言うなら……容赦しないよ?」 「「っ!!」」 どうやら、スイッチが入ったようだ。 その表情は冷たく、見ている者の背筋をぞっとさせる。 「どうするの?」 勇者(笑)は殺気と魔力を垂れ流している。 それにより、モブ達だけではなく、他の客や店員達も萎縮し店内が静まり返る。 …モブ達もだが、こいつらはここがどこだかわかってんのか? 迷惑極まりないにも程がある。 「ちっ、いくぞ。」 「あぁ。」 流石に自分達ではどうにも出来ないと判断したのか、初めにやられたモブを回収するとさっさと出て行った。 「ふぅ。君たち大丈夫だった?」 モブ達が店内から出て行くと勇者(笑)は肩の力を抜き、ユウ達に話しかけた。 その表情は、その辺の女性なら一発で落とすことが出来る物だっただろう。 そう、その辺の女性ならな… 「……」 ふいっ、と目をそらすユウ。 「?…君は?」 「ふんっ、別に助けなんて頼んで無いわ!」 特定の相手以外にはツンしかないエリア。 「うん?それは…ごめんね?」 今までに無い対応だったのだろう。どう扱って良いのか困る勇者(笑) その後ろでは、その様子を声を殺し笑う金髪。 「なによ?まだなんか用でもあるわけ?」 「え?あ、いや、特には…」 にしても容赦無いなエリアの奴… 俺が勇者(笑)の立場だったらお説教してるぞ。 「そう。なら、もう出ましょうユウ。」 「あ…」 用がないと分かるや否やユウの手を引き立ち上がるエリア。 その様子を勇者(笑)は戸惑いながら見ることしか出来ないでいる。 なんとか無事終わったか。 そう胸をなで下ろしたからだろうか……世の中そんなに甘くはなかった。 「…あ…あの…ありが…と…」 極度の人見知り+男性恐怖症+良識ある良い子=ユウがやってしまった。 助けられたのだから感謝は必然。 勇気を振り絞ったにも関わらず目が合ったのは一緒。 だが、それで十分だった。 「っ!な、名前を教えて下さい!」 初めて正面から見た少女に一目惚れしたようだ。 勇気(笑)は通り過ぎようとしたユウの手を掴むと、顔を近づけ興奮気味に詰め寄ったのだ。
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