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「さて、巻き込まれ。俺はもう帰るが、そうなった場合、貴様はこの空気の中、それと二人っきりだなぁ?」
俺は顔を歪ませながら金髪に畳み掛ける。
「っ!…」
そんな金髪は顔を上げ周りを見渡す。
店の中はそれなりに賑わっている。と言っても静かなもんだがな。
そして、もちろん皆、こちらに目を向けている。
だが、金髪と目が合う瞬間、素早くそれをそらす…
こんな空気の中、あれと二人っきりで居れる奴がいるならそいつこそ勇者だな。
「帰る?帰すわけ無いでしょ!さぁ、その子をこちらに渡すんだ!」
渡すかカス。
「さぁ、どうする巻き込まれ?」
まぁ、結果なんぞ火を見るより明らかだがな。
「なにを話してるのさ?純、君もあんな奴の話しな゙っ!?」
「うるせぇ。」
巻き込まれの拳が勇者(笑)の鳩尾を捉えた。
「な…んで…」
巻き込まれは前のめりに倒れてくる勇者(笑)をひょいっと避けると、ベシャっと倒れる勇者(笑)を見下ろす。
「賢明な判断だ。」
俺はそれだけ言うと、踵を返して歩き出す。
「あ、言い忘れていたな。」
「なにを?」
俺は顔だけ金髪に向けると呟くように…だが、本気だと分かるよう殺気を混ぜながら言い放つ。
「俺に関わるな。」
「っ…」
そして、俺は返事も聞かず迷惑そうな顔の店員に多めに代金を支払い、月の欠片、ニーナの部屋に転移した。
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