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冬弥side
「ウガー!!なぜだ!なぜなのだー!!」
「がっ!?」
月の欠片。
俺はあれからニーナを背負いニーナ部屋に転移した。
そして、寝息を立てるニーナをベッド寝かせた瞬間、
目を開けたと思ったら先のように叫びながら起き上がりヘットバッドをかましてきやがった。
「っ~…」
「あぅ…」
油断していたとはいえ久しぶりの激痛…
どうやらニーナも痛みはあるようだ。
涙目ながら睨んで来るが今はそれどころじゃない。
「…なぜだ…なぜ止めたんだ…トウヤ…」
「……」
額を押さえながら顔を伏せ、さっきとは打って変わり絞り出すようにニーナが問う。
「…勇者にやられたのは最初だけだろ?…仲間達皆がやられたのは…」
「…そうなったのは勇者がこくおう?とやらに報告したからだろ?」
やっぱり聞いてたのか…
実はニーナの父、ダルクと言ったか、ダルクは一度、勇者(笑)と戦ったことがある。
その戦いでは、戦闘能力が退化していたため勇者(笑)に軍配が上がった。
瀕死の重傷を負ったものの、偶然…いや、レウさんの策略により密林を訪れていた俺が父を守るため過剰な襲撃を行っていたニーナと出会った事により事無きを得た。
だが…それからすぐだった。
密林で大規模な山狩りが行われたのは。
それにより、ニーナの仲間、ソクリュウはニーナを残し皆狩られたのだ。
この山狩りを行ったギルドがどこかは知らんが、勇者(笑)が国王であるジルに報告した際の情報が漏れたのだろう。
なにせ依頼書には国王に関係する物が無かったから…
多分、報告に立ち会った大臣辺りではないかと俺は睨んでいる。
ちなみに、この事はニーナには告げていなかった。
それについてレウさんと話していたときかな。
あの時、ニーナは眠っていたため気にもしてなかった…
「だから、あの時、殺そうとしたのか?」
ニーナが飛びかかったあの一撃、反応すら出来ていなかったあの勇者(笑)なら間違いなく首が飛んでいただろう。
……主人公補正が無かったらだがな。
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