約束を守ったらゴタゴタに巻き込まれた…

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「ころ…?そうか。ニーナは殺そうとしていたのか。」 無自覚か。 野生の血、条件反射の殺意… 「憎いか?」 「当たり前だ!」 そりゃ、そうだよな。 「殺したいか?」 「当たり前だ…それ以外にあるか!」 復讐… 「殺してどうする?」 「…?」 「次に仲間を殺した他の人間も殺すか?」 「見つけさえすれば!」 「そうか。」 それに何の意味がある? ダルクはそんなこと望んでいない。 そいつらを殺した所で誰も帰ってこない。 と、俺はニーナを止めるべきだろうか? いや…きっとそれは俺が言うべき事じゃない。 勇者ならまだしも… 偽善者ならまだしも… 当事者でも無い俺が出しゃばる事じゃない。 ニーナの怒り、悲しみ、憎しみ、痛み… 簡単に理解出来るものでもなければ、簡単に理解してはいけないものだから。 「ニーナが本当にそう望なら手を貸そう。ただし、今はまだ早い。」 「早い?なぜだ!やつは見つけたぞ?」 「だが、今のお前では勝てない。良くて重傷を負って逃走出来るかどうかだな。」 今のニーナじゃ絶対に勝てない。 先のような完璧な不意打ちも今度はまず無理だろうし。 「そんなのやってみなければ「聞き分けろ。」だが…」 「安心しろ。お前が望なら俺は協力する。だが、無駄死にを望なら止めるし、あまりにも聞き分けが悪いのなら…二度とここに戻って来れない所までお前を転移させる。」 「ぁ…ぅっ…それは嫌だぞ。」 最低な脅し文句だな。 そんなの俺もしたくないさ。 「だったら、ひとまず落ち着いて話でもしようか?」 「…わかったぞ。」 いつの間にかベッドから立ち上がっていたニーナと話すのは首が疲れる… 巻き込まれには関わるなとは言った物のこれから先、そうはならないだろうし…はぁ、憂鬱だな。
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