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突如襲われた激痛に体を硬直させたものの、男は住宅の壁に体を預けて何とか立て直した。
――が。
容赦ないスタンガンの二撃目には堪えきれず、その場にどうと倒れ込む。
「う……ぐ……!?」
朦朧とする意識の片隅で、相手の声を聞く。
「久しぶりだな、サン=ドミニク」
「……!」
「恋人との休暇中に、済まない」
街灯の薄明かりに照らされた姿、見覚えのある顔。
だがこの相手は今、外界に居るべきではない。
何故ここに居て、こんな真似を――。
にわかには信じがたい事実と、絶望的な答えを連想してしまいそうな疑問を虚ろな視線から察したのか、影はパヴェに伏したまま動けない男に屈み込み、実に簡潔に、そして案の定の理由を口にした。
「お前の“ライセンス”が要るんだ」
男の眼前で、きらりと冷たい光が煌めいた。
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