4人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
2
公園近くの道。
まばらな生け垣の間から、公園の中が見える。
水道の近くに小さい子供が数人集まっていた。一人が手に怪我をして泣いているらしく、騒いでいるそれを皆で囲んでいる。
その中に、少し年長の女の子が見えた。おっとりしているが聡明そうな顔は、確かに先頃喫茶室に居た子供だ。泣く子の傍にしゃがみ、なだめているようだ。
「大丈夫。これは魔法の絆創膏なのよ?」
言いながら出して見せ、痛いのはちょっと我慢ね、と傷口を水で洗っている。
泣く声はひどくなったが、女の子は手早く終わらせて絆創膏を貼った。
「ほらもう痛くない」
手を取ってにこりと笑いかけると、泣いていた筈の子もきょとんと止まった。
周りの子供がそれでもう治ったと囃すが、女の子は立ち上がると、そんなにすぐ治りませんと大人のような事を言っている。
今度は自分もとたかり始めた子供達からするすると逃げ、そのまま鬼ごっこが始まった。
近くに住む子なのだろうか。
歩きながら一部始終を見終えた頃、生け垣が視界を遮った。
最初のコメントを投稿しよう!