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『倦怠期ってやつだね』 真夜中に泣きついて捲し立てるように説明した私たちの今の状態は、理香子によって実に簡単に要約された。 「やっぱりそうなのかなぁ」 薄々は気付いていたけど、ズバリと指摘されてスマホを耳にくっつけたまま項垂れた。 「ねえ、私どうしたらいいのかな? どうしたら前みたいに戻れるのかなぁ?」 『知らないわよ。私、倦怠期迎えるほど男と長続きしたことないもの』 「そんなぁ。簡単に突き放さないでよ」 私が情けない声を出すと理香子は大袈裟にため息をついた。 『じゃあ、押し倒してみれば? 外崎だってそれだけ莉乃を遠ざけてるんだから溜まってるんじゃないの? 今度あいつんちに行ったら莉乃からベッドに押し倒して寂しいよぉって思いきり甘えてみなさいよ』 「…………理香子、それ真面目に言ってる?」 『もちろん。素面で面と向かってよりベッドの中の方が本音言いやすいっていうのは私の持論よ。 言葉だけじゃなくて態度でも示せるじゃない。 外崎にしがみついてこい!』 「しがみ……」 いきなり急上昇した理香子のテンションに圧倒されて、電話なのに言葉が続かない。 そんな私の耳にクスクスと笑い声が流れ込んできた。 『莉乃には無理かぁ? でも、それくらいしてでも本音晒しなさい、ってこと。 このままじゃ外崎に何も気付いてもらえないよ?』 「うん…」 押し倒すかどうかは別としても、本音をぶつけなきゃいけないのは確かだ。 理香子のアドバイスを胸に刻みながら長いため息をついた。
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