51人が本棚に入れています
本棚に追加
大学のウインタースポーツサークルで出会った聡介は、一年生ながら誰よりも飛び抜けてスノーボードが上手かった。
「年の離れたいとこの兄ちゃんがやってるの見て憧れて始めたんだ。
高校生の時には兄ちゃんの仲間に混ぜてもらって滑ってた」
始めた頃からレベルの高い人たちに鍛えられたおかげだろうか、サークルのクリスマスイベントで初めて参加した聡介の技術は先輩たちより頭3つ以上も抜きん出ていた。
とりあえず何本かみんなで滑ってから自由行動ということになったが、聡介はあっという間に私たちを置き去りにしていく。
その姿をカッコいいとは思ったが、空気読めよバカ、とももちろん思った。
私は自分の技術をひけらかす聡介にあまり好感を持てなかったから。
そして案の定、聡介のその行動は羨望ではなく嫉妬を生んでしまう。
「おい、勝負しようぜ。外崎(とのさき) 」
バカな勝負を挑んだのは三年生のサークル部長。
それまでのサークルのトッププレイヤーで、お山の大将気取ってて、新入生の私にしつこく付きまとっていたいけ好かない男だった。
「や、俺そーゆーの興味ないんで。
まー……、俺の好きなもの何でもくれるって言うんなら一度くらいはやってもいいっすけど……」
「何様だ、てめー。
やっとサークルに顔だしたと思ったら好き勝手しやがって。
いーよ、お前が勝ったら何でもくれてやる。
で、何がほしいって?」
「じゃ、あそこにいる内村さん。
先輩がしつこく言い寄ってる内村莉乃さんを俺がもらいます。
それでいいならやってもいいっすよ?
あ、でも一回だけね」
「てめー……。よし、勝負だ!!」
「……!! ##$%&!!!!!!!!!!!!…………」
突然勝手に賭けの景品(?)にされた私はびっくりしすぎて口をぱくぱくさせるしかなくて、
結局そんな私の了解は得られないまま(っていうか、その場にいた誰も私に確認してくれなかった!) 始まってしまった聡介と先輩の勝負。
その舞台は……。
最初のコメントを投稿しよう!