第11章 涙の花束

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――結局夏休みはほとんど生物部植物科の活動で、立花君と相も変わらず友達関係で。 愛も変わらず、なんて言ってみたりして。 課題に追われた夏休みの終わりの週、私は三つの涙を零したのだった――  八月の最後の週のとある日。 亜希と洋ちゃんが私の家に来た。 昼過ぎの今は一番暑くなる時間で、亜希も洋ちゃんもそんな中、来てくれて。 汗をかいているようでタオルで拭いたり、手をぱたぱた、と扇いで風を作っている。 「いらっしゃーい、どうぞ、上がって上がって」  私は玄関先で二人を出迎えた。 「あー……暑かったー。お邪魔しまーす」 「お邪魔します。千草ちゃん、これ。よかったら貰ってぇ」  洋ちゃんは紙袋から白い箱を取り出し、渡してきた。 その箱は。 「……ケーキ?」
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