90人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、まさか……?」
「その“まさか”」
私は美咲の右手をすくい上げ、その手のひらにメモリーカードを乗せた。
「私が拓真を誘い出すから、美咲はこれを……」
「分かった」
ステージに続く通路を下りていく。ステージまでは緩やかな階段、それを一歩一歩、踏みしめると両足に何倍もの重力を感じた。
段々と近づくにつれ、拓真の存在が大きく感じられた。会議場から連れ出すのは無理でも、一瞬でも気をそらせれば……。
最初のコメントを投稿しよう!