35* 反転攻勢(3)

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拓真にも言い分があるのかと思い、私は手を下ろした。 すると拓真が呟いた。 「5億」 「5億……?」 「ん。こりゃ、命狙われても可笑しくねーわ、と思って」 カチっという音がした。椎名部長が煙草に火をつけていた。 「5億か……予想以上だな」 「えっ、じゃあ1億8000万って」 「氷山の一角だろうな。恐らくはもっと……」 椎名部長の口から煙が吐き出される。 「よく調べたな」 「こう言うの、首を突っ込みたくなるタチなんで」 濱田常務がきな臭いと思った拓真はすぐに濱田常務の身辺を漁った。エロ画像の修正と称して濱田常務の部屋に入り浸る。アホなエロ社員のレッテルを貼られた拓真は逆に信用されていたらしい。
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