*36 最終章

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脅迫とも言える奥さんのやり方もどうかと思うけれど、それも人の愛し方のひとつだとは認める。夫である椎名部長を犯罪者にはしたくなくて架空の返品伝票を作成した社員も突き止めたのに、結局は夫も自分も巻き込まれてしまったのだから同情もする。 「私だったら別れるかなあ。旦那に本気で惚れた女性がいるなら旦那のためにも身を引くし、それ以前に女がいるなんてドン引きだけど」 「そう? もし私が椎名さんの奥様だったら同じことするかな」 「そういうもの?」 「うん。何があっても別れない。手放さないかな」 「女って怖えーっ」 こんな美咲だから、きっとこれからも不倫を続けていくんだろう……ずっと。ある意味潔い気もするけれど。
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