1277人が本棚に入れています
本棚に追加
かれこれ一ヶ月ほど前。
普段あたしは電車には乗らないんだけれど、あの日は実家から大学へ向かうために今と同じ時間のこの電車を利用した。
いつもはアパートからバス通学で、普通に座れるし、そんなに混んでもいない。
だから慣れない満員電車で、ろくにつかまるところもなくて、そんな状況に疲れが出たとき、
『……っ!』
背筋が凍り付いた。
スカートの中に入ってくる手。
太股を撫でるようにそーっと触れてきた。
痴漢……
この言葉が頭の中を過ったけれど、振り払うことも声を出すこともできなくて。
ただ俯いて、涙をこぼした。
最初のコメントを投稿しよう!