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――甲高いブレーキ音とともに、 電車の車輪が、 俺の上を……通過した。 薄れ行く意識の中で、 俺はあの日のことを思い出してた。   ……その日、窓を勢いよく閉めた際、 蜥蜴を一匹、挟み込んだ。 しまった、そう思ったときには既に遅く、 無残にも蜥蜴は首が落ちて死んでしまった。 そっと窓を開け、目を瞑って恐る恐る、 その死体を外に落とし、また窓を閉めた。 ……若しかしてこれは、あの日の、報い、なのか? 「首、ありましたか?」 「ああ、あったあった。 然しこの遺体、見事に首切断されてるな」 「……まるで、切り落とされたみたいですね」 【終】
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