第1章 出逢い

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 きっかけはちょっとした出来心だった。  俺には母親の違う兄がいるらしいと母に聞いてから、少しだけ気になっていたことだったから、母が死んでしまって一人になった時、思い浮かんだのは見たこともない兄の存在だった。  物心ついたころに、母から告げられたその事実は、昔は子供心に父への反発心にしかなりえなかったのだが、興味が無いと言ったら嘘になった。  だから俺は、ほんのちょっとした出来心で、兄の姿を一目見に行くことにしたのだった。  これが、後からどんなことになるのかも知らないで―――
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