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「………確かに、勝手に決めつけてた。不幸の主人公気取りしてたんだな……」
柊はそう言うとつかつかと俺に近づいてきて、そしてぐいっと顔を近づけた。
「お願いがある。私に学校のメリットを教えてくれ」
「は?」
あまりの近さに顔が熱くなる。慣れてないんだ、こういうの…。
それで、えーと…メリット?さっきあれだけ大層な演説をしておいて何だが、そんなの俺が知りたい。
だが、ここでメリットを言えばきっとこいつは学校に来てくれるのだろうか。
「……皆で団結した体育祭」
「ふむ」
「絆が深まる修学旅行」
「ほうほう」
「嬉し恥ずかし文化祭」
「何で?」
確かに。何故嬉し恥ずかしいのか。
「他には?」
「………………」
無い。
だが、負けるわけにもいかない。
これは賭けだが。それも物凄い恥ずかしい賭けだが。
「恋……とか」
終わった。
照れながら言った自分キモい。
柊はと言うと目を見開いてなんとも言えない表情を浮かべている。そして耐えきれず目線を反らす俺。
もうちょっとましな理由は無かったのかよ頑張れよ自分!
「………それ、面白い」
「…は?」
ん、今何て言った?
「うん、恋をしてみることにする!」
そして、
唇にふんわりとした柔らかい何かが当たった。
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