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声の先を辿るよりも早く、体にとてつもない衝撃が訪れる。
ぐへっ。という恥ずかしい声が漏れ、見事に何かの下敷きとなり地面にうつ伏せた。
「痛っててて…。危ないなぁもう。おい、大丈夫か?」
大丈夫な訳なかろう。お願いだから早くそこから退いてくれ。
「なんなんだ一体…」
「ごめんって!今退くからさ!」
よいしょっとそいつは体を起こし、俺の前に仁王立ちで立つ。
俺も膝をつき何とか体を起こした。
「ケガはないか?」
「ああ…多分。つか、君今上から降ってきたよな?」
どういうシチュエーションだと住宅街から人が降ってくる。
「ああ、そこの家の木に登って昼寝してたら風で揺れて落っこちた」
成る程、どんなシチュエーションだそれは。
…て、ん?明るい茶髪のポニーテール。キリッとした目鼻立ちにカラッとした笑顔。こいつの顔どこかで……。
「君、もしかして柊さん?」
俺がその名前を口にすると、目の前の女の子はいかにも驚きの表情を浮かべる。
「何で私の事を知っているんだ?お前もしかして……ストーカー?」
「違うわ!!!」
寧ろ俺は被害者だ!!
「この制服は知っているだろ?俺は君のクラスの学級委員の朝田だ。君を登校させるようにしてくれと頼まれて、昨日から君の家を訪れていたんだ」
柊はピンと来ない表情を浮かべるが、すぐに何かを思いだし納得の表情へと変わる。
「あ~なるほど。道理で昨日学校のファイルがポストにぶっ刺さってたのか。また来ますってきったねー字、お前だったんだな!」
何故わざわざ中傷をしてきたんだこの人は。悪かったな汚い字で。
だが、漸く本人にも会えたんだし、これで学校に来てくれたら万々歳なのたが。
「それで、明日から学校に来る気はないか?」
「無いな」
…………即答かよ。
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