第1章

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 解っていても諦めがつかない、未だに元彼のことを引きずって自分のせいで振られたのだと責め続けて自己嫌悪を続けている彼女に、さっきの言葉は確かに配慮が足りなかったのだと、少し申し訳ない気持ちになる。  『もっと強くなれ』と言うことは簡単で、けれどそんな無責任なことは、とても彼女には言えなかった。 「このあと、予定は?」 「んー?今日はなにも入れてない。だって今日約束してたし、そんな一日に何人も会うような人気者じゃないからさ。」 「じゃあいつものかな」 「ケーキ!」  僕が呼び出される理由なんて、大層なものじゃなくて。彼女が行き詰まった時に愚痴を聞くために呼び出して、一緒にケーキ食べてお腹いっぱいになったら紅茶を飲んで帰る。それを何軒かはしご。  美味しいものを食べて愚痴を聞いてもらって、また彼女は次の日から頑張って仕事に行く。
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