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「あー、その人、多分ナナミ解る。顔見たら一発!
合ってたら、すっごい後輩からも人気あって人望ある先輩だよ!」
戻って早々、先程の出来事を報告してみたらやはりというか、
情報通のナナミが自信を持って話し出した。
「ふぅん。私はわかるかなぁ。」
「ミワコもすぐ解るよ!
ぜ~ったい知ってるって!」
そんなに有名な先輩なのか。
まぁあの感じから、人気があるのは解る気がするから、納得。
「じゃ今度、朱莉の為に調べとくね!」
「ぶっ!何を!? げほっ...」
乗りに乗ったナナミが勝手にヒートアップしていく。
思わずフルーツ牛乳が鼻に流れ込むところだった。
「え?先輩に彼女いるのかとか、最近別れてないかとか。
いないとしたらどの位間空いてるかとか!」
「ああ、それは大事な情報ね。初心者の朱莉には必要。」
「ミワコまで。
ていうか、そういう意味で報告したんじゃないんだけど。」
何だか気恥ずかしくて否定した私を、ミワコが口角を上げて睨む。
「朱莉、何言ってんの。
これはあんたがずっと期待してる恋愛への第一歩だよ。
み~んなこういう些細な出来事から発展していったり、発展させたり、色々積み重ねて手に入れてる幸せなの。
そうやって恥ずかしがってたんじゃ、ずっと変わらないよ。」
「う。」
「まずは知ること。それからでも遅くない。」
「さっすがミワコ!ナナミも同じこと思ってた!」
キャッキャッと二人が盛り上がっていく様子を傍観。
まぁ、確かに。
知ることは悪いことじゃないと思う。
知ったら、私の中でなにか始まったり、するのかな?
未知な世界への期待が膨らむ。
「まぁ、それはさておきぃ。」
「?」
「私達、まだ本題を聞いてないよねぇ~」
「う。」
「あ、そうだね!はやく聞きたい!
朱莉、何があったの~?」
忘れてくれてることを少し願ってた。
けど、どうやらこの2人から逃れようなんて、無理らしい。
まごまご動かしてた口を引き結ぶ。
「……………実はね。」
功の事を誰かに話すのは、
これが、初めてだった。
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