幼馴染み

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最初の違和感は、 私が小6の春。 最高学年に上がって、 私は図書委員配属。 クラス毎に毎週受付を回していた。 その週は私の当番。 ペアを組んでた女子が本の戻しをしてた。 図書室の入り口に功の姿が見えて、思わず反応した。 功! 呼び掛けたのに、反応無し。 聞こえなかったのかなと思ってもう一度呼んだ。 一瞬、功はこちらを見たけど、 その目には明らかに、 眉間にシワを寄せた迷惑そうな色が浮かんでた。 そんな功を見て 私はすぐに、話しかけるのを止めた。 機嫌が悪かったのかな? 何か嫌な事でもあったのかな? 疑問はたくさん浮かんだけど、 大して深刻に捉えてなかった。 でも、その後は大して変わらず、見かけたら挨拶したり、ちょっと話したりする位の感じだった。 2度目の気付きは、 ちょっと、あからさまだったように思う。 私が中学に上がって、功が小6の、 帰り道、 家まであと少しという距離で 功の背中を見つけた。 向こうも1人の様子だったし、 大丈夫かなと思って、呼んでみた。 そして ちょっと、衝撃だった。 功はそのまま振り返らず、 凄い速さで前に走り出し、家に帰った。 唖然とした私はその場に立ち尽くして、 膨らんでいく違和感を抑えた。 きっと、何か私がしちゃったんだな。 何か嫌なこと言ったりしたかな、 子供心に もしそうなら、今度話した時に謝って、 仲直りしようと思っていた。 自然になりたかった。 3度目で、諦めた。 季節が流れて秋の晴れた日の、登校時間。 功が家から出たのを見て、私も出る。 追いかけるように付いていって、 おはよう!と挨拶してみた。 功は、チラリと私を見た後、 「…何?」 とだけ返した。 久しぶりに聞いた声音と、 見た表情は、 明らかに拒絶を出していて、 私は黙ってその場を離れて、 もう、あの功はいないんだと、 言い聞かせた。 その日は 環境も人も、 変わって行く現実と実感が 苦しくて、辛かったのを覚えてる。 でも、日が経つに連れて、 功がいない生活が 当たり前に、 慣れて行った。 あれから3年位経った今日、 本当に、意識的に捉えて見たのも会話したのも、久しぶりで、 あんまりにも自然に話しかけて来た功に、 更に違和感。 私はついていけてない。
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