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私は懐かしい思い出を引っ張り出して、掻い摘みながら2人に説明した。
ミワコとナナミは黙って頷きながら、お弁当を頬張りつつ聞いてくれた。
「と、いうわけで、なんか楽しいハプニングがあったわけでもない、色恋が絡んだ訳でもない幼馴染みが、昔いたって話ね。」
紙パックのリプトンを飲んでたミワコが私をみた。
「うーん。
今も幼馴染みだけどね。
でもなんだろね~…功くん、だっけ?いきなり思春期に入っちゃった感じなのかな~?」
「そうだよねぇ。それくらいしか思いつかないよね。
今の朱莉からの話だと。」
ミワコとナナミの会話の応酬が続く。
「まぁ、本人に聞くのが早いと思うけど、なんか答えてくれなさそう。直感的に。」
「うんうん。」
「ていうかなんか、話聞いてるだけでもかなりのクール男子じゃない?w」
「わかる!しかもそんなに綺麗な顔立ちなら見てみたい!!
ナナミ好みかも!w」
2人が会いたいと言い出すのは分かってたけど、なんか複雑なので、そこは引っ張りたくない。
「あはは、どうだろ。
私も、次もし会って話す機会があれば的な感覚だし、
実際真向いに住んでても会うことほぼないしね。
でも、近くに住んでるからこそ、避けられてるとかそういうのは、嫌な感じだから止めて欲しいかな。」
「確かに。2人の場合は親もお付き合いあるからね。あんまり不穏な空気は出したくないよねー。」
ナナミが器用に紙パックを折りたたんで片付ける。
「そうなんだよ。
お母さんとかお父さんは功の事嫌いじゃないし、やっぱり話題に出してくるんだよね。
最近は関わってないの一点張りでやり過ごしてるけど。」
「ま、じゃあその件はまた進展あったら教えてよ。
とりあえず、朱莉は先輩を知らないとね~」
「うへ?」
「賛成~!ナナミ色々教えて貰ってくるからね!
朱莉!期待してて!」
ナナミの無駄な力強いGOODポーズに力が抜ける。
まぁ、何もない今だから、こういうのもいい経験かも?
私の頷きを満足そうに見届けた2人はなにやら顔を寄せ合って作戦を立て始めた。
いっか、悪いようにはされないだろうしねー。
大体の内容を説明出来て満足したので、私は残り半分の先輩から進められたサンドイッチを頬張った。
うん。
美味しい。
先輩のチョイスは正解だった。
知らず、頭には爽やかに笑う先輩が浮かんでた。
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