午後からさらに。

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お母さんと二人の食卓では、 チャンネル権の争いが絶えない。 お父さんが居るときは、必然的に父優先だから。 「ちょっと朱莉!今いいとこなんだから変えないでよ!」 「やだ。話暗すぎ。ごはん美味しくなくなる。」 「やめてよー。お母さんの癒しが出てるんだから」 「癒しって。 いくつ下の子に求めてんのー。 年相応に福山とか稲葉とか西島秀俊にしときなよ。」 「解ってないわね~。 年が近いのと、また見る感覚が違うのよ。 ジ〇ニーズとか、若手俳優はね、お母さんくらいになると可愛く見えてしょうがないの。 頑張ってる姿見ると素直に応援したくなるのよ、これが。」 「福山とかは応援できないの」 「熱愛とかでたらひがんじゃうじゃなーい」 「あ、そう」 (ただ若い子が好きなだけじゃん。) 結局テレビは、母の今一番お気に入りが出てる、シリアス系のドラマになった。 確か、この人もジ〇ニーズ。。。 あぁ、昔、この人の先輩の小さい頃の写真が公開されて、騒いだっけ... 「そういえば、朱莉。 功ちゃんって、ジ〇ーズ顔じゃない?」 「え?」 「ほら、系統的によ。昔、なにかで似てるって騒いだことなかった?」 「・・・そうだっけ」 「そうよ~。その時功ちゃん恥ずかしかったのか、しばらく無言になっちゃて。 ふふふ。可愛かったわね~」 お母さんの言葉に、どきりとした。 同じことを思い出していたから。 私の動揺を知ってか知らずか、話し続ける。 「そういえば今日、ひっっさしぶりに功ちゃんと話したわよ~」 「ぇ...」 一番、振りたかった話題だ。 お箸が空を掴む。 「んふふ。 背も大きくなって顔立ちもしっかりしてきたけど、 変わってないものね~。 お母さん嬉しくなっちゃった。」 「あ、そう」 変わってない? あれが? 今までの記憶が脳裏によぎって、 納得できない。 お母さんはにこにこ顔で、ご飯を食べながら続ける。 「人の本質なんて、そうそう変わるものじゃないからね。 成長していく途中の環境とかで話し方なり態度なり変わっちゃって、解り難くなるけど、 根っこは変わらないから。 やっぱり小さいころから見てるって特別ね。」 意味ありげに話すお母さんの顔は穏やかで、真面目だ。 きっと、私と功のことを言ってくれてるんだろうけど、 今の状況が、あまりにもその言葉に当てはまらない気がした。
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