はじめに。。。

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白い霞みがかった視界が晴れた。 でもなんだか、物が淡くぼやけて見える。 『こんにちは。』 『...。』 家の前に、母といるあの小さい子はだれ? 『ほら、朱莉もこっち来て挨拶しなさい。』 『え?』 わ。びっくりした。 お母さんが若い。 てか。私も小さい。 年中くらい? あ、これは夢?   じゃあ、この子は... 『佐伯 功(さえきこう)くんていうんですって。 きれいな顔ねぇ。男の子とは思えないわ。』 『こう、くん?』 『...』 功だ。初めて会った時の、功だ。 『朱莉、功くん、お向かいの家に越してきたばかりなの。 幼稚園も朱莉と一緒だって。仲良くしてあげてね。』 『うん、こうくん、よろしくね?』 『...』 そうだ、功は、昔はシャイで無口で、 『...さえ、き...こう、です。 あかり、ちゃん?』 『うん!』 『はじ、めまして...』 『えへへ、はじめまして!うれしいな! ワタシくらいのトモダチ、おウチの近くに欲しかったの! 毎日遊べるね!こうくんいっぱい遊ぼうね!』 『...うんっ』   笑った顔が 、最高に可愛い自慢の幼馴染だった。 ビクッ! 突然体がびくついて目が覚める。 あたふたと無意識に周りを見渡した。 「くくく、朱莉、爆睡。」 後ろの席のナナミが、堪えきれないとばかりに笑う。 そして右隣から 「津野田、女捨てすぎじゃない?よだれ垂らしてた。」 「え!?」 左からも 「なんかきもい笑い方してたよな」 「えええ!?」 両隣の男子、屋良くんと、松崎くんにまでつっこまれた。 「な~んの夢みてたのかなぁ~」 背中をつんつん、ペンで突いてくるナナミ。 あぁあ。 わたしの女子力の無さに、凹む。 ついでによだれがついたノートをどうにか隠そうと試みる。 「隠ぺいへたくそ」 そんな私を松崎くんが苦笑いしながらつっこむ。 が、何も言い返せない。 ミワコいわく、男子が近くにいて可愛い自分を意識できない+アピールできない奴は、 女子偏差値 底辺!...らしい。 気合をいれてもこんなもんな私は、今年も独り身の可能性、大。 自分の思考に悪寒が走る、まだ2時限目。 今日の1日は長い気がする。
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