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やっぱり先輩だった。
彼は先程、私を蝶ネクタイの色(紺)で後輩と判断したのだろう。
私も少し緩んだ彼のネクタイの色(緑)で判別。
「サンキューな。キミいなかったらギリギリまで悩んでたかもw」
「いえ。」
「ていうか、悩み中?」
「はい。さっき気になるのはあったけど、持って行かれちゃったので。」
先輩はお会計をしながら、器用に後ろで商品棚を見てる私に話しかける。
というか、初対面でこんなに話しやすい人、初めてかも。
なんで警戒しないのかな。
「お、じゃあこれおススメ!」
「え」
ぽん。と手に乗せられたのは女子に支持が高そうな、野菜たっぷりの新作サンドイッチ。
トマトが肉厚で、食パン生地もボリュームがある。
「あ、美味しそう」
「クラスの女子も絶賛してたから間違いないんじゃね?
じゃあ俺はお先な~」
「あ、ありがとうございます?」
「ははっ疑問形」
列の邪魔にならないように颯爽と出ていく先輩の背中を見つめる。
警戒しない理由、解った。
先輩があり得ないくらい、
屈託なく全開で、笑うから。
あんなに爽やかで豪快に笑う人、初めて会ったかも。
纏う空気感も清々しい。
コンビニを出て息を吸い込んで吐き出した。
なんだか心の空気の入れ替えが出来たみたいにすっきりしてる。
校内へ戻る足取りも、朝ほどとは行かなくても、軽くなってる。
2年の下駄箱を通り、階段を上がって、教室に着く頃にはミワコ達に報告する内容はまとまっていた。
こんな先輩が居たってこと。
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