第1章

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第三次世界大戦も未知の疫病も流行らず、ただただ時は流れた今この世界。 生命の定義は研究されつくし、あやふやになりつつある2100年。 青色の狸型のロボットは開発されず、未だに人間は空間を飛び一瞬で移動することも、空を生身で飛ぶこともなかった。 発展され尽くした医療技術は世界の平均寿命を大幅に引き揚げ、深刻な人口過多と食料不足を引き起こした。 いや、食料不足は語弊があった。 生きるために必要な栄養は錠剤を飲めば事足り、水分は空気中は元より、排泄物すら濾過し、飲料に事足りるようになっていた。 それでも、それでも解決できない土地の不足の解決のため昔のSFのように宇宙開発等とのたまう人々はいたが、まだ火星や月にすむ準備は整ってはいなかった。 そんなときに一人の科学者が提案をした。 「人々を一生寝たきりにしよう」 「人は栄養材と水さえあれば生きれるから夢を見させよう」 「そうすれば、寝るスペースと介護するスペースだけあるならば、地下に施設をつくってしまえば土地は心配はない」 非人道的な発言。 灰色の髪をたなびかせた日本の女科学者はそんな発言をさも当然のように言い放った。 それがはじまり。 それが終わり。 世界はそこから始まりそこで終わる。 「夢は、そう、ゲームにしよう。皆が楽しみ、そこから出たくなくなるようなそんな夢にしよう」
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