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「彼は、『浄火』を処分する命令を受けたそうだ。それが、できなかったんだろう」
「処分、殺せ……ってことか?」
初めて緑の声を聞いたのは浄火だった。
鉢植えのハイビスカスだった浄火は、広希に抱えられ、アニメキャラのような声でしゃべっていた。
「そうだ。『浄火』がお前の居所を明かせば、弱った守護を持つ人間がお前の力を求めてくる」
「うん? 別におれは困らないけど」
「お前は平気かもしれないが、思惟を救うために精神を喰われるのが危険なことはわかるよな?」
「うん、なんとなく」
広希の知り合いの老人が、自分の守護を救うために精神を喰わせて死にかけたことを思い出す。
それを救えたのはたまたまで、その『叡智』という名前の守護が喰ってなかったからだと広希は言った。
本当に喰われていたら、助からなかったはずだと。
「だからこその決定だ。思惟を処分するのは大きな損失だが、一般人を守るのは連城家の使命だから、お前もそこに含まれたことになる」
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