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「や、待てよ。浄火だけじゃなくて、広希さんの美刀もおれを知ってるけど、そこはいいのか?」
「守護は一方的な関係じゃない。『美刀』は広希さんに守られているが『浄火』には守護がいない。つまり、お前を隠し通す理由がないんだ」
だから広希が連れて逃げたのだろうか。
でも、彼は連城家を継ぎたいと言っていたのに。
「広希さんは連城家を捨てた……ってことか?」
細面で人なつっこい笑顔を思い出す。
からかうように笑いながら、彼は矛盾する現実にいつも、苦しんでいた。
「いや、守護契約がそのままだから、そうとも言えないらしい」
「……っつーことは何か。広希さんも浄火も、おれのために逃げてるのか」
「そういうことになる」
深いため息がこぼれた。
これは、父が仕事を放って帰ってくるはずだ。
「ふざけんなっつの。……んな勝手なことされて、おれが喜ぶとでも思ってるのかよ」
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