1 追跡者の誕生

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「や、待てよ。浄火だけじゃなくて、広希さんの美刀もおれを知ってるけど、そこはいいのか?」 「守護は一方的な関係じゃない。『美刀』は広希さんに守られているが『浄火』には守護がいない。つまり、お前を隠し通す理由がないんだ」  だから広希が連れて逃げたのだろうか。  でも、彼は連城家を継ぎたいと言っていたのに。 「広希さんは連城家を捨てた……ってことか?」  細面で人なつっこい笑顔を思い出す。  からかうように笑いながら、彼は矛盾する現実にいつも、苦しんでいた。 「いや、守護契約がそのままだから、そうとも言えないらしい」 「……っつーことは何か。広希さんも浄火も、おれのために逃げてるのか」 「そういうことになる」  深いため息がこぼれた。  これは、父が仕事を放って帰ってくるはずだ。 「ふざけんなっつの。……んな勝手なことされて、おれが喜ぶとでも思ってるのかよ」
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