1 追跡者の誕生

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 絶望的なほど電気系がだめな広希に返信は無理かと思いながらも、メールを打った。 (昭人です。事情は聞いた。今、どこにいるんだ)  カレンダーを見る。まだ水曜日だ。学生の身分では週末でなければ動けない。 「父さん、守護持ってる? 美刀と連絡取れないか」  何気ない質問のはずが、父は深刻な顔をして、すぐにそれを隠すように笑った。 「父さんの守護は力を使い果たして消えてしまった。それ以来、連城家の仕事はしていない」 「……そっか、ごめん。知らずに悪いこと訊いて。母さんのほうは?」 「いるけど連城家の子じゃないわよ」  あっけらかんと答えてくれた。 「はあ?」  全ての思惟が連城家の管轄ではないと知ってはいるが、身近にそんなややこしい守護がいるとは思わなかった。 「女性はいくら能力があっても連城家は認めないのよ。でも、いないと困るから自分で探したわ」 「今時、女だからだめとか言う?」 「しょうがないわよ、古い家系だから」
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