プロローグ

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「ピアノ下手くそなの知ってるでしょ?」 鍵盤から離そうとすると、手を重ねられてそれを阻止された。 ハルの手を意識してしまい、心臓がどくん、と高鳴る。 「大丈夫、簡単だよ。片手で、ここの5つの音を繰り返してて。それに合わせて僕が弾くから」 「あ、うん」 やっぱり私はハルには勝てない。 「いくよ、せーの」 私と、ハルの連弾が始まった。 とは言っても、ただ片手で親指から小指へ、小指から親指へと順番に動かして鳴らしていくのを繰り返すだけ。 それに比べてハルは両手で色んな音を出している。 きれいな指が軽やかに動き、一つ一つ紡いでいく。 私は改めてハルのすごさを感じた。
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