渡天桑海(とてんそうかい)

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明か沙汰会に依って、何気ない日常に光りの射すような生活が果たされている。 特に紛れもない平和思想は、なまじの宗教活動を凌駕する。 洋一は8時には出勤する。 明か沙汰会の正しさを自分の拠り所として、今日の始まりも終わりも平和な洋一であった。 そうこうして金曜日になり、祥子が出勤して来た。 「尾上さん、これタフの御礼です。」 と紙袋を手渡された。 「御下がりだからいいのに…せっかくだからいただくか、何かな。」 それはタコさんウインナーがメインで4個入りの御弁当と、缶コーヒーであった。 「これ手作り?」 「はい、自分の分のついでなので気にしないで下さい。」 「いやあ、悪いね。」 そして昼休み、事務所の中で二人で弁当を食べていると、店長がやって来た。 「おっ、仲良くやってるね、私は外行って来るから。」 洋一は余計な勘違いをされていないか少し気になり、弁解を用意しておいた。 御弁当を食べ終えコーヒーを飲む。 雑談の後にタフの話になった。 「もう一気に読みました、きれいな言葉が一杯で素晴らしかったです。 特に渡天桑海という詩とコラムが良かったかな。」
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