秘め事

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洋一は見知った道を行くので気を緩め、侍らう事を止めアースクロスについて考え事をしていた。 日本語には外来語というジャンルがあってカタカナ表記をするのだが、アースクロスではそこで世界共通語への創意となるのが専らだ。 外来語の使い安さに着眼点を持ち、世界共通語を親しみのある語に仕上げ、透徹されたイニシアティブを執る。 それは明か沙汰会会員一同の願望である。 アースクロス化への快進撃は通信教育とて地道な物だが、日本という国の文明を再考してもらえるチャンスでもある。 洋一はアースクロスを誇りに思う反面、外来語なだけの雑乱には困惑していた。 郵便ポストに辿り着き封筒を投函し、スーパーを目指す。 洋一の行くスーパーは『ホーダイ』といって、年頭に一年間分の納金をしておくと一年間買い放題(かご一杯)になるという、何とも有り難いサービスがある。 スーパーに着いた。 魚やハムや生野菜を適当に買う。 洋一はホーダイに感謝しつつ、家路を急いだ。 洋一の家は最寄り駅の京阪電鉄千林から徒歩10分に在り、人通りの多い舗道に面している。 入り口がひっそりとしていて、1階はロビーになっている。
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