秘め事

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そして国家を見ると実に大きな柔和な家で、そこに属する事の深遠さは正しい哲理に彩られていた。 明か沙汰族は言霊を家路に辿った後、再び世界へ旅に出る。 それは『明か沙汰族の旅路』と称される。 明か沙汰族の胸中に飛来する温もり。 会員個々が時節マチマチに天上に至るので、テロのように過熱しないであれる。 物騒な界隈との縁は、それらを反面教師の所作とする為の奇語としてだけ、明か沙汰族は了承する。 そして悪意ある言葉をそれぞれの胸中に纏めて沈め、秘め事に成し行くのだ。 洋一もまた、数々の秘め事を持っている。 例えば新聞は、悪意ある言葉で構成されるしかない時、平座でそれらを綴る。 かたや明か沙汰族は批判を加えなくてはならなくて、やむを得ず悪徳にも名付けるのである。 いずれにしても臍を噛むかのようなその所為。 淀んでしまうその周囲。 それらに取り憑かれる前に、日々アースクロスを駆使するのだ。 洋一はタフを見て、常々その清らかさに心を打たれる。 また月刊誌という急く趣の無さが、職業人の生活に手頃である。 明か沙汰会は宗教かのような揶揄を受けるが、決してそうではない。
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