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本棚に追加 「麻衣がいなければ?・・・何を言ってる。お前が勝手に落ちたんだろう」
沸々と怒りが滾る。理性を総動員して抑え込むのがやっとで、握りしめた拳の爪先が皮膚に食い込んでいく。
「違うわ!あの子に落とされたのよ!!」
警察が介入して捜査も既に終わり、麻衣の無実が証明されているというのに平然と口にする鈴木文子。気でも触れているのだろうか。
「証拠なんてどこにもないだろう!いい加減、麻衣を貶めるのはやめろ!」
思わず荒げた声音に、息が上がる。
口論ではなく話し合いをしに来たというのに、どうにも自分は麻衣のこととなると沸点が低くなるらしい。
「貶めるだなんて!私はあるべき場所に戻りたいだけよ!!」
「は?」
開いた口が塞がらないとはこのことか。
ドクドクと不自然に脈打つ鼓動を感じながら、彼女の瞳を見る。
いつになく鈴木文子の表情は、切羽詰まっているようだった。
だがそれも束の間、すぐにそれは笑みに消えた。
「ねえ、充供?私、あなたと一緒にいられるなら、なんだってするわ」
口角を上げ、目尻を下げ、恍惚とした笑みに、背筋がぞわりと粟立つ。
「・・・・・なぜ、俺なんだ」
それは以前から思っていたこと。
どうして彼女はこんなにも、自分に執着するのか。
正直、付き合っていた期間も短いし、そもそも別れた原因は彼女だ。
それなのに、何故こんなにも自分を欲しがるのか、理解ができない。

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