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「え!靖ここわかんないの!?」
「わからん…」
「しょーがないなぁ」
あたしは普通に靖に勉強を教えていた。
すると後ろからなにやら楽しそうな声が。
「ねぇねぇ愛ー!ちょっときてー!」
という麻里の声。
なんか、笑ってる…?
なになに!?
「藤川くん面白いねー!」
「そうか?俺そんな面白くないよ?」
なになになになーーーに?
楽しそうじゃん!
しかし麻里がお腹抱えて笑っている。
何があったんだ。
「あのね?藤川くんがね?このファイルの動物描いてんだけど…似てるのか似てないのかわからんとー!あははっ」
と、言いながら麻里が見せてきたもの。
…これは…アリクイ?
なんだこれ。
なんの物体?
まず動物なの?これ。
いや、動物だということは確かだ。
「はー?ばり似とるし!!しろくま!!」
少しムキになって紙を取り上げる藤川くん。
あ、それしろくまだったんだ。
愛はアリクイにしか見えなかったよ。
「やばくない?もうまじ面白い!ほかのもなんか描いてみてよ!」
と、笑いながら麻里が言うと、なんのためらいもなく藤川くんは
「いいよ、描いてやる」
と言い、また机に向かって絵を描きだした。
藤川くんって…うまいのかうまくないのかわかんないね。
麻里が笑うのも無理ないわ。
「ごめん靖。解けた?」
解説途中だった靖の隣の席に戻る。
「ここってこれで合ってる?」
「えっと…。………うん!これで合ってるよ!」
「よし!なんとか中間間に合いそう!」
時期的にそろそろ中間試験が始まる。
風邪で学校休んでた靖は、勉強の遅れを取り戻そうと必死だった。
「ちょっ!愛!きてきて!」
そしてまたなにやら麻里が呼んでいる。
…次の動物が描けたかな?
「…な、ナニコレ!!」
紙を手に取った愛は思わず口にしてしまった。
すると…
「…ラッコ」
と、真顔で藤川くんが答える。
おー、たしかに!今度はちゃんとラッコに見える!!
「これはラッコに見える!!」
「だろー!?ほらみろ!」
と、愛に確認した後に麻里に舌を出して余裕の顔をしてる藤川くん。
結構子供っぽいとこあるんだ。
やっぱ藤川くん、面白い人だね。
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