#00   Prologue.

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「え!靖ここわかんないの!?」 「わからん…」 「しょーがないなぁ」 あたしは普通に靖に勉強を教えていた。 すると後ろからなにやら楽しそうな声が。 「ねぇねぇ愛ー!ちょっときてー!」 という麻里の声。 なんか、笑ってる…? なになに!? 「藤川くん面白いねー!」 「そうか?俺そんな面白くないよ?」 なになになになーーーに? 楽しそうじゃん! しかし麻里がお腹抱えて笑っている。 何があったんだ。 「あのね?藤川くんがね?このファイルの動物描いてんだけど…似てるのか似てないのかわからんとー!あははっ」 と、言いながら麻里が見せてきたもの。 …これは…アリクイ? なんだこれ。 なんの物体? まず動物なの?これ。 いや、動物だということは確かだ。 「はー?ばり似とるし!!しろくま!!」 少しムキになって紙を取り上げる藤川くん。 あ、それしろくまだったんだ。 愛はアリクイにしか見えなかったよ。 「やばくない?もうまじ面白い!ほかのもなんか描いてみてよ!」 と、笑いながら麻里が言うと、なんのためらいもなく藤川くんは 「いいよ、描いてやる」 と言い、また机に向かって絵を描きだした。 藤川くんって…うまいのかうまくないのかわかんないね。 麻里が笑うのも無理ないわ。 「ごめん靖。解けた?」 解説途中だった靖の隣の席に戻る。 「ここってこれで合ってる?」 「えっと…。………うん!これで合ってるよ!」 「よし!なんとか中間間に合いそう!」 時期的にそろそろ中間試験が始まる。 風邪で学校休んでた靖は、勉強の遅れを取り戻そうと必死だった。 「ちょっ!愛!きてきて!」 そしてまたなにやら麻里が呼んでいる。 …次の動物が描けたかな? 「…な、ナニコレ!!」 紙を手に取った愛は思わず口にしてしまった。 すると… 「…ラッコ」 と、真顔で藤川くんが答える。 おー、たしかに!今度はちゃんとラッコに見える!! 「これはラッコに見える!!」 「だろー!?ほらみろ!」 と、愛に確認した後に麻里に舌を出して余裕の顔をしてる藤川くん。 結構子供っぽいとこあるんだ。 やっぱ藤川くん、面白い人だね。 ───
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