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『絵一夫人にどう言って説明をすれば……』
『あたしは、どぅやって聞けば……』
先生は腕を組むと、
『絵一夫人は、画家のゴッホや作曲家のベートーベンをご存じじゃろ』
と睨みながら尋ねた。
『はぃ、よく知っちょります。
……それが何か?』
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四純はジョッキーを口に運んでから、ゆっくり静かにを置くと、
「真弓さん……、
僕は18日から仕事で東南亜細亜方面に出掛けます。
その前に……、
明日から国内各地にも立ち寄らなければなりません」
と語尾を強めて言った。
「はぁ……それで」
「それで真弓さん。
……僕はニ十四日、イヴの夕刻には必ず帰ってきます」
「はぃ……」
絵一ぃ……
あたしは四純さんの側におると、
まるで魔法にでもかけられたみたいに、
四純さんに優しく包まれていくょ……えいちぃ……
「それで……そのイヴの夜には、
僕を……あの樅の木の下で待って居て頂けませんか?」
▽
『じゃ絵一夫人、
ゴッホやベートーベンは何故にあげに有名なんじゃ? ……ん、』
『それはですがじゃ。
強力な凄い魅力じゃ!
他の人を圧倒する魅力が有るからじゃちぃ!』
『うん。
絵一夫人の言う通りじゃな。他のもんもそうなんじゃが……、
特に絵には、観る人の心を引き付ける強い個性的な魅力がないといかん!』
『絵一の絵にはそれがなかとですか!?』
『あることはあるんじゃがぁ……』
『じゃ、何でぇ?』
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