偉い絵描きさんとの再会

9/11
前へ
/11ページ
次へ
´      ▼ 「はぃ待ちます」 えいちぃ…… あたしは何のためらいもなく……返事をばしちょるょ…… その時に四純さんは……こんなあたしにプロポーズばするつもりじゃょ。 あたしにはよく分かるがね…… えいちぃ……あの樅の木の下で……あたしたちは、 相手のおらんやったあたしたちは、 毎年毎年待ち合わせばしとったね…… とても楽しかったねぇ……絵一ぃ……      ▽ 『趣味で終わるんなら、それでも構わんち。   じゃっどん! この絵で飯を喰って行くんならば駄目じゃ!   彼の絵は逃げちょる。 びくびくしてびびっちょるんじゃ。 じゃかい絵に魅力が生まれん!』 『じゃ先生、絵一の絵は売れんとね、駄目じゃとね! (絵を手にして) 絵一はこれに、心血をば注いじょるがですよっ。 絵一から絵を奪ったなら、あいつは死んだも同じなんじゃょ先生! 先生、なんとかして下さい! 先生、絵一をば生かして下さい! もう、あたしにはどうすることも、 どうすることも出来んのですがじゃぁ! 先生、絵一をば助けっ下さい!』 『はぁ…はぁ…絵一夫人苦しぃぃ』 『先生ちぃ!』 『はぁ…はぁ……絵一夫人、手をば離して下さらんかっ…苦しいぃぃ   ゴホッ、ゴホッ』 『あぁ……ごめんなさいじゃ』 『あ、いや……   なら、絵一夫人!』 『はいっ!』 『彼の今の絵をば、全て破り捨てなさいっ!』 『えっ、……ぜんぶちぃ』 『そうじゃ全部じゃ! そして、魅力ある個性ある、強い絵をば、創り上げなさいっ!』      ▼ (彼の今の絵をば、全て破り捨てて、 そして新しく、魅力ある個性ある絵をば、創り上げなさい!) 「……真弓さん」 (破り捨てて、魅力ある個性ある絵を……) 「真弓さん……真弓さんっ」 「……え、あ、はい」 「大丈夫ですか…真弓さん……出ましょうか」 「あ、すみません……」 ´
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加