chapter1 夏の日に

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私たちもヘリで良かったのに、とぼそりと言う茉里だがさすがに招待されている身でヘリでの登場というのはいかがなものか。そして父・道重が当の天音島のオーナー坂本剛志から情報を得ているのも、また招待を受けたのも彼らが昔馴染みであり、事業で提携することもあればライバルになることもある関係だからだ。かくいう俺も坂本さんとは何度も色んな場で会ったことがある。 まぁ、一言で言おうが言うまいが、利潤至上主義のおっさんだ。特別嫌いなわけではないが、未来永劫好きになれる気はしない。 しかしまぁ、なんというかまぁ…。 「旅行だと思えば悪くないだろ?」 別に茉里に言った訳でもなく独りごちると先刻起床したばかりにも関わらず、眠ることにした。 だってまだ、二時間あるんだぜ?
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