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上半身は比較的マシなものでお気に入りの赤いカッターシャツには少しの埃と砂粒が付着している。俺はそれらを払うとゆっくり、諫めるように茉里に語りかける。
「何もここまでしなくても良かっただろ?茉里も重かっただろうし、俺もこの有様じゃちょっとな。なんで起こしてくれなか…」
「今の今まで起きなかったでしょ、このバカ」
左様でしたね。全面的にこちらが悪うございます。心の中で慇懃無礼に謝罪して、周囲を見渡すともう太陽が高く昇っている。開放的で外と同化しかかっているこの駅には、というより周囲には人の姿がほとんどない。それもそのはず、この近辺には船着場があるだけで、その他に関しては決して便のいい場所ではないからだ。もうすぐ午後一時か。腕時計に目をやり船の時間までまだ幾分か余裕があることを確認する。
「まーりー、昼飯はー?」
先程、寝起きに聞こえたことから推測するに昼食は茉里が作ってきているのだろう。何度も怒らせていてこちらから言える立場ではないにせよ、人は食欲に勝てないものなのである。
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