chapter1 夏の日に

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「理玖って私相手だと本当にキャラが安定しないよね。…ふぅ、まぁいいわ。ほら、これ」 呆れ顔で言って茉里はバッグから小ぶりな袋包みを取り出す。開けてみると、プラスチック容器がご丁寧に保冷剤に集団リンチされている。いじめっ子の保冷剤を剥がしては除け、容器の蓋を開ける。 「おっ、サンドウィッチか。美味そうだな」 「ん、まぁね」 卵にレタスにツナにハム、トマトに胡瓜と色とりどりの具材が長方形のパンに挟まれて、プラスチック容器の中はさしずめ宝石箱のようだった。 さっそく、卵とレタスが挟まれたものを一つ口に運ぶ。 「やっぱ、茉里は料理が上手だな、それに優しいし」 言葉が終わるか終わらずかの間に茉里の顔はサンドウィッチのトマトのように真っ赤になっていた。 「な、な、な、何いきなり変なこと言ってんのよ!脈絡なかったでしょ、さっきの」 ここまでパニックになっているのを見ると微笑ましくなってくるのはなぜだろうか、さておきハムとトマトのサンドを頬張る。
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