chapter1 夏の日に

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こうして見るとやはり岡田さんも美人だな、とは思うものの少女の圧倒的な美しさの前にはそれも霞んで見えてしまう。二人とも黒髪ながらも岡田さんは何度か染め直しているのか、茶髪だった頃の名残であろう赤さが目立ち、かたや少女の髪は青みがかってるかのようなほど綺麗なものだった。 「さっきからすごく見比べてませーん?劣化比較として見られるのはかなり辛いんですけどー、比べたよね?そうだよね?」 おい、敬語なくなってんぞ半端メイド。事実、言われたことは正鵠を射ていたので苦笑いするしかなかったが。 「それでですねっ!この雨村様が最後ですよ!他の方々は各々の都合で先に島に上陸なさってますー」 思わぬタイミングで先程の返答を寄越してきた。自ら発した言葉で糾弾しておきながらすぐに手のひらを返して助け舟を出して雰囲気を悪くしない。 本当、この人は何に向いているんだろう。 「あの、初めまして。雨村志穂、17歳です。よろしくお願いします」
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