chapter1 夏の日に

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「もういいよ。ちっちゃいことは昔っからアンタに言われてるし、慣れちゃった」 実のところ茉里は百七十四センチある俺より二十センチ以上背が低い。今現在そのことをどう思っているかはともかく、昔はだいぶ気にしていたと思う。 「そう言えば、昔は俺がチービチービとか言ってからかってたんだっけ…。子供だったよなぁ」 ガツッという音と同時に鈍い痛みが頭に走った。一瞬、何がなんだか分からなくなっていたが、正面から頭突きを見舞われたのだとようやく気付く。 「いってぇよ!何すんだよ茉里」 「いやいやいーや、アンタバァーカ?一旦許したら何でも言っていいと思ってる?子供だったというか現在進行形で子供だよね?殴っていい?殴っていいよね?」 こうなったらもうカンカンだ。明らかに俺が悪かったとは言え、これは参った。情に訴えかければ何とか、なるか…?と思い苦し紛れに呟く。 「もう頭突きしてるだろ…。痛いんだぞ、まだ」
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