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完璧だ…。一分のスキもない。これはスムーズに会話に入れるぞ、と期待に胸と鼻孔を膨らませた俺だったが返事は言葉ではなく平手だった。ペチーン!と爽快な音が車両の中に響き渡り、新聞片手のお爺さんや買い物袋とカップルのように腰掛けるおばさまがビクッとこちらを振り向く。
「理玖、アンタ、私を、バカにしてるでしょ?」
何だそのぶつ切り口調は、それこそバカみたいだぞ、とは言わずこちらを向いているSMプレイショーの観客の皆さんに無言の苦笑いで応対する。
「ごめんって。で、何?」
茉里は額に手を当て、疲れた表情で本題を告げる。
「今日から三泊四日で天音島に行くって聞かされたから今ここにいる訳だけどさ。私、アンタから詳しい話全く聞かされてないんだけど、いい加減話してよ」
そうなのだ、俺たち二人は今日から泊まりがけでたいして認知もされていない、どっかの資産家が保有する「天音島」という離島へ行くのだ。そのどっかの資産家に招待されている訳なので知らない人間ということではないのだが。
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