chapter1 夏の日に

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「本当は親父共で行く予定だったんだけどな。天音島に建設してるって言ってた益志館っつー坂本さんのお屋敷の工期が早まって、それに合わせて今回のパーティーも早まり、親父たちは生憎予定ぎっしりで行けないから俺たちが代わりに行くわけ。坂本さんにもそうしてくれって言われたし」 こくりこくりと頷き茉里は手のひらの上に握り拳をポンと叩く仕草でいかにも納得したというようなポーズをとる。 「つまりは金持ちの道楽で島一個買ってその上、お屋敷を急ピッチでおっ立てて新築パーティーってことね」 「合ってるよ、合ってるけど坂本さんの前では絶対言うなよ」 「分かってるわよ、さすがに子供でもあるまいし。あ、この前泊まりの荷物送ったのもその…何だっけエキシ館?ってとこなんだよね」 本当に言わないだろうか、と一抹の不安が脳裡をよぎるのだが… 「そうだよ。ちなみに益志館ってのは「利益を志す」を語感良く言ってるだけみたいだぞ。親父が言ってた。あと荷物は確かに益志館行きだけど坂本さんのとこの船は都合つかなかったからヘリで空輸だ」  
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