見てはいけない

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 翌日私たちは、インターネットで調べた心霊写真の供養を行っているという隣町のお寺に足を運んだ。平日ということもあり、着いて早々あの写真の供養を始めてもらえることになった。  住職に写真を手渡すと、神妙な面持ちで写真を見詰めこう言った。 「まずこの写真を御供養する前に、これがどういったものなのかをお話しなければいけません」  聞き入る私たちを見て、住職は続けた。 「まずこれは、死者が写り込んだものではなく、あなたに向けられた強い念が生霊となって写り込んだものです」  住職は私を見ながらそう言った。 「わ、わたしに生霊が…」 「はい」  そしてゆっくりと美香の方に視線をやり、更にこう続けた。 「恐らくこの生霊の念は、大切なものを奪われたことで生まれたものでしょう。ただ、念というのは、発した者も受けた者も必ず報われることはありません。ですから私は、今日この機会を持って、その念が晴れることをお祈り致します」  住職は私たちを諭すように、交互に視線を切り替えながら優しくそう言った。住職の言っていることの意味が分からず、私は心当たりを探った。すると7年前のある記憶に辿り着いた。  その記憶とは、入社した年から現在まで付き合っている彼のことだった。同期で入社した彼は、入社当初、同期の女子社員から結構な人気があった。そして、一番いい仲だと噂になったのが、隣にいる美香だった。ただ、それからしばらくして、彼と美香との間には何もないようだと噂が立つようになり、私もそうだと思っていた。だから私は彼に少しずつアプローチをし、それから現在に至っている。  そんなことを思い出した時、隣にいる美香が小さく震えているのに気付いた。ゆっくり美香に視線をやると、悔しそうな表情で俯き、涙を流していた。  もしかして、ずっと……  そう思った時、再びあの女の声が私の心の中に響いた。  か え せ っ !!
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