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『~小さな約束の終わり~』
『栄太郎!あんたまた私の饅頭食べたでしょぉぉぉぉぉぉぉ!』
『ねぇ希梨子。それは早く食べない君が悪いと思わない?』
『やはりあんたの仕業かぁぁぁぁぁぁぁ!!』
――――幼い頃から一緒にいて、いつも傍にいた俺達。
君のことなら俺はなんだって知ってるし、君の一番傍にいるのは俺だって自負してる。
だから、さ。
君と昔交わした小さな小さな約束だって、俺はほんとは覚えていたんだ。
『ねぇ、栄太郎。栄太郎は私を置いて死なないよね?ねぇ、約束して…?』
―――松陰先生を失った当時の俺達は酷く不安定で脆くて。
寂しくて、寂しくて、一人では生きていけなかった。
だからこそ、約束だと、死ぬなと君は言って。
そして、僕は笑って頷いた。
『―――うん、俺は希梨子を置いて逝かないよ』
到底守れるはずがない約束を、無邪気に笑い承諾しながら。
――――これはきっと小さな約束の物語。
どこまでも子供だった俺達が起こした、小さな終わりの話――………。
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